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法律、施行令

国税徴収法

第五章 滞納処分

第四節 換価代金等の配当

  • (配当すべき金銭)
    • 第百二十八条 税務署長は、次に掲げる金銭をこの節の定めるところにより配当しなければならない。
      • 一 差押財産の売却代金
      • 二 有価証券、債権又は無体財産権等の差押えにより第三債務者等から給付を受けた金銭
      • 三 差し押さえた金銭
      • 四 交付要求により交付を受けた金銭
    • 2 第八十九条第三項(換価する財産の範囲等)の規定により差押財産(同条第一項に規定する差押財産をいう。以下この項において同じ。)が一括して公売に付され、又は随意契約により売却された場合において、各差押財産ごとに前項第一号に掲げる売却代金の額を定める必要があるときは、その額は、売却代金の総額を各差押財産の見積価額に応じて按(あん)分(ぶん)して得た額とする。各差押財産ごとの滞納処分費の負担についても、同様とする。
  • (配当の原則)
    • 第百二十九条 前条第一項第一号又は第二号に掲げる金銭(以下「換価代金等」という。)は、次に掲げる国税その他の債権に配当する。
      • 一 差押えに係る国税
      • 二 交付要求を受けた国税、地方税及び公課
      • 三 差押財産に係る質権、抵当権、先取特権、留置権又は担保のための仮登記により担保される債権
      • 四 第五十九条第一項後段、第三項又は第四項(第三者の損害賠償請求権等への配当)(これらの規定を第七十一条第四項(自動車等についての準用規定)において準用する場合を含む。)の規定の適用を受ける損害賠償請求権又は借賃に係る債権
    • 2 前条第一項第三号又は第四号に掲げる金銭は、それぞれ差押え又は交付要求に係る国税に充てる。
    • 3 前二項の規定により配当した金銭に残余があるときは、その残余の金銭は、滞納者に交付する。
    • 4 換価財産上に担保のための仮登記がある場合における当該仮登記により担保される債権に対する配当については、仮登記担保契約に関する法律第十三条(優先弁済請求権)(同法第二十条(土地等の所有権以外の権利を目的とする契約への準用)において準用する場合を含む。)の規定を準用する。
    • 5 換価代金等が第一項各号に掲げる国税その他の債権の総額に不足するときは、税務署長は、第二章(国税と他の債権との調整)、第五十九条第一項後段、第三項及び第四項(これらの規定を第七十一条第四項において準用する場合を含む。)、前項並びに民法その他の法律の規定により配当すべき順位及び金額を定めて配当しなければならない。
    • 6 第一項又は第二項の規定により国税に配当された金銭を国税(附帯税を除く。以下この項において同じ。)及びその延滞税又は利子税に充てるべきときは、その金銭は、まずその国税に充てなければならない。
  • (債権額の確認方法)
    • 第百三十条 前条第一項第二号に掲げる国税、地方税又は公課を徴収する者及び同項第三号又は第四号に掲げる債権を有する者は、売却決定の日の前日までに債権現在額申立書を税務署長に提出しなければならない。
    • 2 税務署長は、前項の債権現在額申立書を調査して前条第一項各号に掲げる国税その他の債権を確認するものとする。この場合において、次に掲げる債権を有する者が債権現在額申立書を提出しないときは、税務署長の調査によりその額を確認するものとする。
      • 一 登記がされた質権、抵当権若しくは先取特権により担保される債権又は担保のための仮登記により担保される債権
      • 二 登記することができない質権若しくは先取特権又は留置権により担保される債権で知れているもの
      • 三 前条第一項第四号に掲げる債権で知れているもの
    • 3 前条第一項第三号に掲げる債権のうち前項第一号及び第二号に掲げる債権以外の債権を有する者が売却決定の時までに債権現在額申立書を提出しないときは、その者は、配当を受けることができない。
  • (配当計算書)
    • 第百三十一条 税務署長は、第百二十九条(配当の原則)の規定により配当しようとするときは、政令で定めるところにより、配当を受ける債権、前条第二項の規定により税務署長が確認した金額その他必要な事項を記載した配当計算書を作成し、換価財産の買受代金の納付の日から三日以内に、次に掲げる者に対する交付のため、その謄本を発送しなければならない。
      • 一 債権現在額申立書を提出した者
      • 二 前条第二項後段の規定により金額を確認した債権を有する者
      • 三 滞納者
  • (換価代金等の交付期日)
    • 第百三十二条 税務署長は、前条の規定により配当計算書の謄本を交付するときは、その謄本に換価代金等の交付期日を附記して告知しなければならない。
    • 2 前項の換価代金等の交付期日は、配当計算書の謄本を交付のため発送した日から起算して七日を経過した日としなければならない。ただし、第百二十九条第一項第三号又は第四号(配当を受ける債権)に掲げる債権を有する者で前条第一号又は第二号に掲げる者に該当するものがない場合には、その期間は、短縮することができる。
  • (換価代金等の交付)
    • 第百三十三条 税務署長は、換価代金等の交付期日に配当計算書に従つて換価代金等を交付するものとする。
    • 2 換価代金等の交付期日までに配当計算書に関する異議の申出があつた場合における前項の換価代金等の交付は、次に定めるところによる。
      • 一 その異議が配当計算書に記載された国税、地方税又は公課の配当金額に対するものであるときは、その行政機関等からの通知に従い、配当計算書を更正し、又は直ちに交付するものとする。
      • 二 その異議が配当計算書に記載された国税、地方税又は公課の配当金額を変更させないものである場合において、その異議に関係を有する者及び滞納者がその異議を正当と認めたとき、又はその他の方法で合意したときは、配当計算書を更正して交付するものとする。
      • 三 その異議が配当計算書に記載された国税、地方税又は公課の配当金額を変更させるその他の債権の配当金額に関するものである場合において、その異議に関係を有する者及び滞納者がその異議を正当と認めたとき、又はその他の方法で合意したときは、配当計算書を更正して交付するものとし、その合意がなかつたときは、その異議を参酌して配当計算書を更正して交付し、又は異議につき相当の理由がないと認めるときは、直ちに国税、地方税又は公課の金額を交付するものとする。
    • 3 前項の規定により換価代金等を交付することができない場合、換価代金等を配当すべき債権が停止条件付である場合又は換価代金等を配当すべき債権が仮登記(民事保全法(平成元年法律第九十一号)第五十三条第二項(不動産の登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の執行)(同法第五十四条(不動産に関する権利以外の権利についての登記又は登録請求権を保全するための処分禁止の仮処分の執行)において準用する場合を含む。)の規定による仮処分による仮登記を含む。)がされた質権、抵当権若しくは先取特権により担保される債権である場合における換価代金等の交付については、政令で定めるところによる。
  • (換価代金等の供託)
    • 第百三十四条 換価代金等を配当すべき債権の弁済期が到来していないときは、その債権者に交付すべき金額は、供託しなければならない。
    • 2 税務署長は、前項の規定により供託したときは、その旨を同項の債権者に通知しなければならない。
  • (売却決定の取消に伴う措置)
    • 第百三十五条 税務署長は、売却決定を取り消したときは、次に掲げる手続をしなければならない。ただし、第百十二条第一項(動産等の売却決定の取消)の規定により、その取消をもつて買受人に対抗することができないときは、この限りでない。
      • 一 徴収職員が受領した換価代金等の買受人への返還
      • 二 第百二十一条(権利移転の登記の嘱託)その他の法令の規定により嘱託した換価に係る権利の移転の登記のまつ消の嘱託
      • 三 第百二十五条(換価に伴い消滅する権利の登記のまつ消の嘱託)その他の法令の規定による嘱託で換価に係るものによりまつ消された質権、抵当権その他の権利の登記の回復の登記の嘱託
    • 2 前項第三号の規定により嘱託した回復の登記に係る質権者、抵当権者又は先取特権者に対し換価代金等から配当した金額がある場合において、これらの者がその金額を返還しないときは、税務署長は、その金額を限度として、これらの者に代位することができる。この場合において、配当した金額がその質権、抵当権又は先取特権により担保される債権の一部であるときは、税務署長は、その代位した債権者の承諾を要しないで、その代位に係る権利を行使し、かつ、その債権者に優先して弁済を受けることができる。

第五節 滞納処分費

  • (滞納処分費の範囲)
    • 第百三十六条 滞納処分費は、国税の滞納処分による財産の差押、交付要求、差押財産の保管、運搬、換価及び第九十三条(修理等の処分)の規定による処分、差し押えた有価証券、債権及び無体財産権等の取立並びに配当に関する費用(通知書その他の書類の送達に要する費用を除く。)とする。
  • (滞納処分費の配当等の順位)
    • 第百三十七条 滞納処分費については、その徴収の基因となつた国税に先だつて配当し、又は充当する。
  • (滞納処分費の納入の告知)
    • 第百三十八条 国税が完納された場合において、滞納処分費につき滞納者の財産を差し押えようとするときは、税務署長は、政令で定めるところにより、滞納者に対し、納入の告知をしなければならない。

第六節 雑則

第一款 滞納処分の効力
  • (相続等があつた場合の滞納処分の効力)
    • 第百三十九条 滞納者の財産について滞納処分を執行した後、滞納者が死亡し、又は滞納者である法人が合併により消滅したときは、その財産につき滞納処分を続行することができる。
    • 2 滞納者の死亡後その国税につき滞納者の名義の財産に対してした差押えは、当該国税につきその財産を有する相続人に対してされたものとみなす。ただし、徴収職員がその死亡を知つていたときは、この限りでない。
    • 3 信託の受託者の任務が終了した場合において、新たな受託者が就任するに至るまでの間に信託財産に属する財産について滞納処分を執行した後、新たな受託者が就任したときは、その財産につき滞納処分を続行することができる。
    • 4 信託の受託者である法人の信託財産に属する財産について滞納処分を執行した後、当該受託者である法人としての権利義務を承継する分割が行われたときは、その財産につき滞納処分を続行することができる。
  • (仮差押等がされた財産に対する滞納処分の効力)
    • 第百四十条 滞納処分は、仮差押又は仮処分によりその執行を妨げられない。
第二款 財産の調査
  • (質問及び検査)
    • 第百四十一条 徴収職員は、滞納処分のため滞納者の財産を調査する必要があるときは、その必要と認められる範囲内において、次に掲げる者に質問し、又はその者の財産に関する帳簿書類(その作成又は保存に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)の作成又は保存がされている場合における当該電磁的記録を含む。第百四十六条の二及び第百八十八条第二号において同じ。)を検査することができる。
      • 一 滞納者
      • 二 滞納者の財産を占有する第三者及びこれを占有していると認めるに足りる相当の理由がある第三者
      • 三 滞納者に対し債権若しくは債務があり、又は滞納者から財産を取得したと認めるに足りる相当の理由がある者
      • 四 滞納者が株主又は出資者である法人
  • (捜索の権限及び方法)
    • 第百四十二条 徴収職員は、滞納処分のため必要があるときは、滞納者の物又は住居その他の場所につき捜索することができる。
    • 2 徴収職員は、滞納処分のため必要がある場合には、次の各号の一に該当するときに限り、第三者の物又は住居その他の場所につき捜索することができる。
      • 一 滞納者の財産を所持する第三者がその引渡をしないとき。
      • 二 滞納者の親族その他の特殊関係者が滞納者の財産を所持すると認めるに足りる相当の理由がある場合において、その引渡をしないとき。
    • 3 徴収職員は、前二項の捜索に際し必要があるときは、滞納者若しくは第三者に戸若しくは金庫その他の容器の類を開かせ、又は自らこれらを開くため必要な処分をすることができる。
  • (捜索の時間制限)
    • 第百四十三条 捜索は、日没後から日出前まではすることができない。ただし、日没前に着手した捜索は、日没後まで継続することができる。
    • 2 旅館、飲食店その他夜間でも公衆が出入することができる場所については、滞納処分の執行のためやむを得ない必要があると認めるに足りる相当の理由があるときは、前項本文の規定にかかわらず、日没後でも、公開した時間内は、捜索することができる。
  • (捜索の立会人)
    • 第百四十四条 徴収職員は、捜索をするときは、その捜索を受ける滞納者若しくは第三者又はその同居の親族若しくは使用人その他の従業者で相当のわきまえのあるものを立ち会わせなければならない。この場合において、これらの者が不在であるとき、又は立会に応じないときは、成年に達した者二人以上又は市町村長の補助機関である職員若しくは警察官を立ち会わせなければならない。
  • (出入禁止)
    • 第百四十五条 徴収職員は、捜索、差押又は差押財産の搬出をする場合において、これらの処分の執行のため支障があると認められるときは、これらの処分をする間は、次に掲げる者を除き、その場所に出入することを禁止することができる。
      • 一 滞納者
      • 二 差押に係る財産を保管する第三者及び第百四十二条第二項(第三者に対する捜索)の規定により捜索を受けた第三者
      • 三 前二号に掲げる者の同居の親族
      • 四 滞納者の国税に関する申告、申請その他の事項につき滞納者を代理する権限を有する者
  • (捜索調書の作成)
    • 第百四十六条 徴収職員は、捜索したときは、捜索調書を作成しなければならない。
    • 2 徴収職員は、捜索調書を作成した場合には、その謄本を捜索を受けた滞納者又は第三者及びこれらの者以外の立会人があるときはその立会人に交付しなければならない。
    • 3 前二項の規定は、第五十四条(差押調書)の規定により差押調書を作成する場合には、適用しない。この場合においては、差押調書の謄本を前項の第三者及び立会人に交付しなければならない。
  • (官公署等への協力要請)
    • 第百四十六条の二 徴収職員は、滞納処分に関する調査について必要があるときは、官公署又は政府関係機関に、当該調査に関し参考となるべき帳簿書類その他の物件の閲覧又は提供その他の協力を求めることができる。
  • (身分証明書の呈示等)
    • 第百四十七条 徴収職員は、この款の規定により質問、検査又は捜索をするときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があつたときは、これを呈示しなければならない。
    • 2 この款の規定による質問、検査又は捜索の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。