法律、施行令

国税徴収法

第六章 滞納処分に関する猶予及び停止等

第一節 換価の猶予

    • 第百四十八条から第百五十条まで 削除
  • (換価の猶予の要件等)
    • 第百五十一条 税務署長は、滞納者が次の各号の一に該当すると認められる場合において、その者が納税について誠実な意思を有すると認められるときは、その納付すべき国税(国税通則法第四十六条第一項から第三項まで(納税の猶予)の規定の適用を受けているものを除く。)につき滞納処分による財産の換価を猶予することができる。ただし、その猶予の期間は、一年をこえることができない。
      • 一 その財産の換価を直ちにすることによりその事業の継続又はその生活の維持を困難にするおそれがあるとき。
      • 二 その財産の換価を猶予することが、直ちにその換価をすることに比して、滞納に係る国税及び最近において納付すべきこととなる国税の徴収上有利であるとき。
    • 2 税務署長は、前項の換価の猶予をする場合において、必要があると認めるときは、差押により滞納者の事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがある財産の差押を猶予し、又は解除することができる。
  • (換価の猶予に係る分割納付、通知等)
    • 第百五十二条 国税通則法第四十六条第四項から第七項まで(納税の猶予の場合の分割納付等)、第四十七条第一項(納税の猶予の通知等)、第四十八条第三項及び第四項(果実等による徴収)並びに同法第四十九条第一項及び第三項(納税の猶予の取消し)の規定は、前条第一項の規定による換価の猶予について準用する。この場合において、同法第四十六条第七項中「納税者の申請に基づき、その期間」とあるのは、「その期間」と読み替えるものとする。

第二節 滞納処分の停止

  • (滞納処分の停止の要件等)
    • 第百五十三条 税務署長は、滞納者につき次の各号のいずれかに該当する事実があると認めるときは、滞納処分の執行を停止することができる。
      • 一 滞納処分の執行及び租税条約等(租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律(昭和四十四年法律第四十六号)第二条第二号(定義)に規定する租税条約等をいう。)の規定に基づく当該租税条約等の相手国等(同条第三号に規定する相手国等をいう。)に対する共助対象国税(同法第十一条の二第一項(国税の徴収の共助)に規定する共助対象国税をいう。)の徴収の共助の要請による徴収(以下この項において「滞納処分の執行等」という。)をすることができる財産がないとき。
      • 二 滞納処分の執行等をすることによつてその生活を著しく窮迫させるおそれがあるとき。
      • 三 その所在及び滞納処分の執行等をすることができる財産がともに不明であるとき。
    • 2 税務署長は、前項の規定により滞納処分の執行を停止したときは、その旨を滞納者に通知しなければならない。
    • 3 税務署長は、第一項第二号の規定により滞納処分の執行を停止した場合において、その停止に係る国税について差し押さえた財産があるときは、その差押えを解除しなければならない。
    • 4 第一項の規定により滞納処分の執行を停止した国税を納付する義務は、その執行の停止が三年間継続したときは、消滅する。
    • 5 第一項第一号の規定により滞納処分の執行を停止した場合において、その国税が限定承認に係るものであるとき、その他その国税を徴収することができないことが明らかであるときは、税務署長は、前項の規定にかかわらず、その国税を納付する義務を直ちに消滅させることができる。
  • (滞納処分の停止の取消)
    • 第百五十四条 税務署長は、前条第一項各号の規定により滞納処分の執行を停止した後三年以内に、その停止に係る滞納者につき同項各号に該当する事実がないと認めるときは、その執行の停止を取り消さなければならない。
    • 2 税務署長は、前項の規定により滞納処分の執行の停止を取り消したときは、その旨を滞納者に通知しなければならない。
    • 第百五十五条から第百五十七条まで 削除

第三節 保全担保及び保全差押

  • (保全担保)
    • 第百五十八条 納税者が消費税等(消費税を除く。)を滞納した場合において、その後その者に課すべきその国税の徴収を確保することができないと認められるときは、税務署長は、その国税の担保として、金額及び期限を指定して、その者に国税通則法第五十条各号(担保の種類)に掲げるものの提供を命ずることができる。
    • 2 前項の規定により指定する金額は、その提供を命ずる月の前月分の当該国税の額の三倍に相当する金額(その金額が前年におけるその提供を命ずる月に対応する月分及びその後二月分の当該国税の金額に満たないときは、その額)を限度とする。
    • 3 税務署長は、第一項の規定により当該国税(酒税を除く。)の担保の提供を命じた場合において、納税者がその指定された期限までにその命ぜられた担保を提供しないときは、当該国税に関し、その者の財産で抵当権の目的となるものにつき、同項の規定により指定した金額を限度として抵当権を設定することを書面で納税者に通知することができる。
    • 4 前項の通知があつたときは、その通知を受けた納税者は、同項の抵当権を設定したものとみなす。この場合において、税務署長は、抵当権の設定の登記を関係機関に嘱託しなければならない。
    • 5 前項後段の場合(次項に規定する場合を除く。)においては、その嘱託に係る書面には、第三項の書面が同項の納税者に到達したことを証する書面を添付しなければならない。
    • 6 第四項後段の場合において、不動産登記法第十六条第二項(嘱託による登記)(他の法令において準用する場合を含む。)において準用する同法第十八条(登記の申請方法)の規定による嘱託をするときは、その嘱託情報と併せて第三項の書面が同項の納税者に到達したことを証する情報を提供しなければならない。この場合においては、同法第百十六条第一項(官庁の嘱託による登記)の規定にかかわらず、登記義務者の承諾を得ることを要しない。
    • 7 税務署長は、第一項の規定による担保の提供又は第四項の規定による抵当権の設定(以下「担保の提供等」という。)があつた場合において、第一項の命令に係る国税の滞納がない期間が継続して三月に達したときは、その担保を解除しなければならない。
    • 8 税務署長は、担保の提供等があつた納税者の資力その他の事情の変化により担保の提供等の必要がなくなつたと認めるときは、前項の規定にかかわらず、直ちにその解除をすることができる。
  • (保全差押)
    • 第百五十九条 納税義務があると認められる者が不正に国税を免かれ、又は国税の還付を受けたことの嫌疑に基き、国税犯則取締法(明治三十三年法律第六十七号)の規定による差押若しくは領置又は刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の規定による押収、領置若しくは逮捕を受けた場合において、その処分に係る国税の納付すべき額の確定(申告、更正又は決定による確定をいい、国税通則法第二条第二号(定義)に規定する源泉徴収による国税についての納税の告知を含む。以下この条において同じ。)後においては当該国税の徴収を確保することができないと認められるときは、税務署長は、当該国税の納付すべき額の確定前に、その確定をすると見込まれる国税の金額のうちその徴収を確保するためあらかじめ滞納処分を執行することを要すると認める金額(以下この条において「保全差押金額」という。)を決定することができる。この場合においては、徴収職員は、その金額を限度として、その者の財産を直ちに差し押えることができる。
    • 2 税務署長は、前項の規定による決定をしようとするときは、あらかじめ、その所属する国税局長の承認を受けなければならない。
    • 3 税務署長は、第一項の規定により保全差押金額を決定するときは、当該保全差押金額を同項に規定する納税義務があると認められる者に書面で通知しなければならない。
    • 4 前項の通知をした場合において、その納税義務があると認められる者がその通知に係る保全差押金額に相当する担保として国税通則法第五十条各号(担保の種類)に掲げるものを提供してその差押をしないことを求めたときは、徴収職員は、その差押をすることができない。
    • 5 徴収職員は、第一号又は第二号に該当するときは第一項の規定による差押を、第三号に該当するときは同号に規定する担保をそれぞれ解除しなければならない。
      • 一 第一項の規定による差押を受けた者が前項に規定する担保を提供して、その差押の解除を請求したとき。
      • 二 第三項の通知をした日から六月を経過した日までに、その差押に係る国税につき納付すべき額の確定がないとき。
      • 三 第三項の通知をした日から六月を経過した日までに、保全差押金額について提供されている担保に係る国税につき納付すべき額の確定がないとき。
    • 6 徴収職員は、第一項の規定による差押えを受けた者又は第四項若しくは前項第一号の担保を提供した者につき、その資力その他の事情の変化により、その差押え又は担保の徴取の必要がなくなつたと認められることとなつたときは、その差押え又は担保を解除することができる。
    • 7 第一項の規定による差押又は第四項若しくは第五項第一号の担保の提供があつた場合において、その差押又は担保の提供に係る国税につき納付すべき額の確定があつたときは、その差押又は担保の提供は、その国税を徴収するためにされたものとみなす。
    • 8 第一項の規定により差し押えた財産は、その差押に係る国税につき納付すべき額の確定があつた後でなければ、換価することができない。
    • 9 第一項の場合において、差し押えるべき財産に不足があると認められるときは、税務署長は、差押に代えて交付要求をすることができる。この場合においては、その交付要求であることを明らかにしなければならない。
    • 10 税務署長は、第一項の規定により差し押えた金銭(有価証券、債権又は無体財産権等の差押により第三債務者等から給付を受けた金銭を含む。)がある場合において、その差押に係る国税につき納付すべき額の確定がされていないときは、これを供託しなければならない。
    • 11 第一項に規定する国税の納付すべき額として確定をした金額が保全差押金額に満たない場合において、その差押を受けた者がその差押により損害を受けたときは、国は、その損害を賠償する責に任ずる。この場合において、その額は、その差押により通常生ずべき損失の額とする。
    • 第百六十条 削除